
証券パートナーズの三好です。
今回は「オリンピック後に株価は下がるのか」というテーマで今後の相場見通しについてお話しします。
- 東京五輪後の株価変動が気になる方
- 過去の五輪を含めて、五輪前後の株価変動傾向を知りたい方
- 相場の格言「5月に売って、9月に買う」は本当か?
2021年7月23日から、いよいよ東京オリンピックが開催されました。
開始前は色々とトラブル続きで賛否両論があるかとは思いますが、いざ始まってしまえば多くの方が日本を応援して観戦していらっしゃるかと思います。
そこで今回はオリンピックにちなんで、「過去のオリンピック開催時にはどのような相場展開をしていたのか」、今までの値動きを参考に、今後の相場展望をお話ししていたいと思います。
特に最近は「オリンピックが終わったら日本は暴落するんじゃないか」というような声も聞きますので、本記事を参考にしていただければ幸いです。
2000年以降のオリンピック時の値動きは?
では早速ですが、2000年以降に行われたオリンピックでの値動きを見ていきましょう。


こちらのチャートは2000年以降のNYダウ、日経平均株価の推移を表しています。
赤色が日経平均株価、青色がNYダウとなっています。
こう見るとやはり米国株は強く、日本株はイマイチですね。
そして4年おきに緑色に塗られている部分がオリンピックの開催期間となっています。今回は開会式の前3ヶ月、後3ヶ月、合わせて半年間を色付けしています。
- 2000年 オーストラリア・シドニーオリンピック
- 2004年 ギリシャ・アテネオリンピック
- 2008年 中国・北京オリンピック
- 2012年 イギリス・ロンドンオリンピック
- 2016年 ブラジル・リオオリンピック
詳細は後述しますが、全体的な印象はいかがでしょうか。
2008年のリーマンショックと同じ年に開催された北京オリンピックを除けば、全体的にオリンピック前後は緩やかな右肩上がりとなっています。もう少し遡ってみても上昇している方が多かったですね。
2016年・リオオリンピック前後の株価変動
それでは詳しく見てみると、まず前回のリオオリンピックがこのような値動きです。


赤色が日経平均株価、青色がNYダウ、緑が開催国であるブラジルボベスパ (BVSP)のチャート、赤色の丸が開会式の日です。
開催国ブラジルの株価は、開催から3か月間は上昇し、それ以降アップダウンを繰り返しながら上昇相場へと入っています。
開催国ならではの恩恵があるのでしょうか。赤青の日米もオリンピックから少し後に上昇していますね。
2012年・ロンドンオリンピック前後の株価変動
では、もう一つ遡って2012年のロンドンオリンピックを見てみましょう。


緑色のイギリスFTSEはオリンピック前に大きく下げていましたが、赤丸の開会式以降はかなり上昇していますね。
日経平均株価、NYダウはオリンピック期間にはそこまで動いていないですが、オリンピックからしばらくしてから上昇相場に入っています。
2008年・北京オリンピック前後の株価変動
続いて2008年の北京オリンピックを見てみましょう。


開催国の中国上海総合指数、日米ともに下がっていますね。
これはリーマンショックも起きていますのでなんともいえないのですが、この年だけはオリンピック前後に大きく下落しています。
ただこちらもオリンピック後から金融緩和政策のおかげで少しずつ持ち直しています。
2004年・アテネオリンピック前後の株価変動
続いて2004年のアテネオリンピック。アテネはギリシャなのですが、ギリシャの株価指数が見つからなかったのでここは日経平均とNYダウだけを載せています。


アテネオリンピックの時は値動きが結構大きいですね。
ただこちらもオリンピックから3か月後に日米ともに上昇基調に入っています。
2000年・シドニーオリンピック前後の株価変動
そして最後、2000年のシドニーオリンピックがこちらになります。


シドニーはオーストラリアの都市です。オーストラリアとNYダウは横ばい、日本株だけ下がっていますね。
オリンピック前後のチャートから見る傾向
オリンピック前後のチャートはいかがでしたか?
チャートを見る限り、私個人的にはいくつか傾向があるように感じました。
傾向1 開催国の株価はオリンピック前後に強い
まず1つ目ですが、シンプルに開催国の株価はオリンピック前後は強い。
2008年の北京オリンピック以外では開催国の株価は堅調に推移しています。
もう一度チャートを出しますが、緑が開催国のチャートです。








リオ、ロンドン、北京、アテネは飛ばしてシドニーの4つです。
もちろん確固たる根拠があるわけではありませんが、オリンピックによる押上効果というのは少なからずあるように思えますね。
傾向2 オリンピックから3ヶ月後に全体が上昇
そして2つ目の傾向ですが、「オリンピックから3か月後に全体が上昇する」という事です。
1つ目の傾向、開催国が強いのは開会式から前後3ヵ月の半年間ですが、それ以降は全体が大きく上昇している傾向があります。
というのもこれには理由がありまして、オリンピックの開催が毎年8月前後に設定されており、この8月9月の夏場というのは統計的に「夏枯れ相場」とも言われており、相場全体が低迷しやすい期間と言われています。その為、オリンピックから8月9月頃までの株価は横ばい、もしくは下落していることの方が多いです。
ですが11月頃になると、外国人投資家の動きも活発になり相場が全体的に上昇しやすい傾向となっています。
相場の格言
相場の格言で「Sell in May」という言葉あります。
これは「株は5月に売れ」という意味ですが、この格言には続きがあり、「Remember come back in September」という言葉になります。
これは「9月に戻ってきなさい」という意味で、「5月に売って、また9月に買い戻す」という意味になります。
こうすることで統計的には相場に勝ちやすい、というように言われています。
これが正しいのか確認するためにもう一度チャートを出しますが、赤青の日米の株価に注目してください。










緑の色付けは11月まで塗っていますので、ちょうど背景が変わる11月前後で相場が上昇していることが見て取れます。
なので、今までのチャートを観察して分かったことは、
- オリンピック期間中の開催国の株価は強い
- オリンピックから3ヵ月経った頃に上昇しやすい
ということになります。
まとめ
では、今回お伝えしたオリンピックの傾向を踏まえるとしたら、まずは開催国が強いという事なので「短期的には日本株への投資に妙味があるかもしれない」という事ですね。
そしてなおかつ、11月に上昇する傾向がありますのでそれに向けて安く仕込めるように、日本株、米国株ともに下がったタイミングで買い入れておくという事になります。
もちろん株価材料というのはオリンピックだけではありませんし、その時々の経済状況や世界情勢を踏まえて相場は変化します。特に今年はコロナウイルスと言う今までにはなかった特別な材料がありますので、あくまで参考程度ですが判断材料になれば幸いです。
また、オリンピックが終われば国内では選挙もありますし、テーパリングの議論も今後進展していくことが見込まれます。
あくまで私個人としては長期投資を推奨していますが、目先の判断は今回の記事や、東京五輪2020前後の値動きを参考にしていただければと思います。



それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。