
証券パートナーズの三好です。
今回は「日経平均株価は4万円を目指すのか」というテーマでお話しします。
- 2021年9月前半の市場振り返り
- 2021年9月3週以降の相場見通しを知りたい方
- 自民党総裁選が与える今後の相場への影響を知りたい方
日経平均株価は4万円を目指すのか?ということで、今後の相場見通しと自民党総裁選について解説していきます。
まず、日経平均株価が約半年ぶりに3万円代を回復ということで、非常に嬉しい相場展開となってきました。
ちょうど2週間ほど前から私も動画でお伝えしていたのですが、そこから日経平均株価は1,500円ほど上昇し、ようやく3万円代といったところですね。
その一方で 米国株はインフレ、テーパリングを意識し、先週一週間は5日間続落という結果となりました。
この辺りの見通しについてもお話ししていきたいと思います。
日経平均4万円への相場見通し
米国株・先週一週間の振り返りと私見
米国株は先週の一週間、NYダウ・S&P500ともに5日間続落ということで軟調な動きとなってきました。
ここに来てアメリカの景気回復懸念、それに加えて年内のテーパリング観測などが強まり調整の一週間となりました。
米国株に関して言うと、はっきりとした悪材料が出たというよりも、今まで上昇してきた分の調整局面と考えています。
ゴールドマンサックスが「経済成長率の見通しを引き下げる」発表があったり、FRB要人の「2021年内のテーパリングを行う方向で議論が進んでいる」という発言があったりして一旦は下方向に調整という相場局面かなと見ています。
ただ5日間連続で下落というのは、ここ最近までほとんどなかったので少し警戒が必要だと考えています。
年末までの見通しは問題なく上昇して行くと想定していますが、9月中に関しては次のテーパリングの見通しがはっきりするまでは、だらだらとした展開が続く可能性はあるかと考えています。


米国株に関しては「下がったら買い」というのはおすすめせず、再度上昇基調に反転するのを確認してから購入を検討されるとよろしいかと思います。銘柄にもよりますが、すでに保有しているという場合は特に動かさず現状維持で問題ないかと思います。
日本株・先週一週間の振り返りと私見
続いて今回の本題、日本株についてです。
先ほどもお話しした通り日経平均株価は30,000円代を回復し、先週一週間では海外インデックスを大きく上回るパフォーマンスとなりました。
この日本株上昇の主な要因は「海外投資家の運用方針の転換」と、以前からお話ししている「自民党総裁選」だと考えています。
この2点について掘り下げてお話ししていきます。
外国人投資家の転換
1つ目の海外投資家の転換についてですが、こちらに関しては今週発表された部門別売買動向からも読み取ることができます。
2021年 | 個人 | 外国人 |
---|---|---|
9月1週 | -4917 | 3669 |
8月4週 | -2483 | -45 |
8月3週 | 4058 | -3634 |
8月2週 | -1579 | 1576 |
8月1週 | -1903 | 710 |
7月4週 | 0.2 | -579 |
7月3週 | 2425 | -3133 |
7月2週 | -2167 | 1101 |
7月1週 | 4668 | 137 |
こちらの表でマイナスになっている週は売り越し、プラスは買い越しを表しています。
1週間遅れで発表されるのでリアルタイムを表しているわけではありませんが、9月の第一週に入ってから海外投資家が大きく買い越しているのが見て分かります。
約3,600億の買い越しで、6月以降の大幅な買い越しになります。そしておそらく今週も買い越していると想定されます。
その一方で、個人投資家は上昇してきた日本株を売り越しているのが分かります。
もちろん日経平均株価は30,000円という節目でもみ合う可能性はありますが、日本株に関してはこれから本格的な上昇相場入りと考えています。
ではなぜ海外投資家が動き始めたかというと、1つはコロナ感染者数の減少が上げられると見ています。
当局のワクチン接種促進の効果もあり、日本での感染者数も徐々に減り、先週に比べでも明らかに減少傾向となっています。


日米の新規感染者数をグラフにするとこのようになっており、アメリカでは感染者数は横ばいですが日本では 8月後半からピークアウトし感染者数が顕著に減っています。
こういった背景も外国人投資家が日本株に投資し始めた理由の一つだと考えています。
自民党総裁選
そして米国人投資家が日本株へ積極的に投資をし始めた理由の二つ目としては、以前からお話ししている自民党の総裁選挙ですね。新総理の積極的な経済政策に期待が集まっていると考えています。
政治の話は後半でまとめてお話しますので、先に日本株の今後の運用方法についてお話ししてきます。
今後、自民党総裁選の結果によっては、2013年からのアベノミクス相場のような値動きになる可能性は十分にあると考えています。
もちろん断定はできませんが、私としては日経平均株価は今年の年末までに33,000円程度まで上昇するんじゃないかと見ています。
というのもアメリカやヨーロッパは去年のコロナショック以降、巨額の金融・経済政策を行って経済立て直しのためにどんどんお金を使いました。
その効果もあり、株価は大きく持ち直し今となっては逆にインフレの懸念が出てきました。


アメリカでの消費者物価指数は5%以上になっています。これが現在のテーパリング議論に繋がるわけです。
その一方で日本は?というと、現在全国消費者物価指数は-0.3%です。


全然インフレになっていません。むしろマイナスなのでデフレなんですね。
この状態ではテーパリングの議論にすらなりませんし、本来はもっとお金を回していかないといけないんですね。
ですので、世界的には今までどんどんつぎ込んできた資金を減らしていく方針なのに対して、日本はまだ足らないのでこれからも今まで以上に資金を入れていきましょう、という段階にあります。
次の自民党総裁選で高市さん、岸田さん辺りが総理になった場合は、資金供給は拡大方向ですので日本株は世界的にも投資対象となると想定しています。ちなみに河野太郎さんは、財政緊縮派のようですのでこの資金供給には消極的な姿勢です。
まずはそういった背景をご理解いただいたうえで、どのように投資していくのが良いかというと、日本株の利益はなるべく伸ばすことを意識するようにしてください。
ここ最近は日本株はパッとしなかったので、ようやく上がって利益が出てくるとどうしても売りたいと思う人が多いかと思います。
利益確定を否定するつもりは無いのですが相場が本格的に上昇し始めた際、大抵の場合、細かく売り買いすると利益が小さくなってしまう傾向にあります。
相場全体がグーっと上がるときは細かく売買するのではなく、どっしりと尻尾から頭までを取る、というイメージで運用されるのが宜しいかと思います。
また日経ダブルインバースの購入額が増えてきており、3万円を節目に逆張りしている個人投資家も多くいらっしゃるようですが、これに関しては私はお勧めしません。
相場に勝つには基本順張りです。
少し前のものになりますが、以下のYouTube動画や関連記事を再度見直していただければご理解いただけるかと思います。
損する投資方法「下がれば買い」について【儲かっていない人は必見!】
個人投資家の9割が勝てない3つ理由と対策を元証券マンが解説!


上昇相場では細かく売買せず、尻尾から頭まで大きく取る、含み益を伸ばす、ということに意識を持っていただければと思います。
日本の経済は総裁選でどうなる?
現在、自民総裁選に正式に出馬表明されたのは、岸田さん、高市さん、河野さんの3名です。


私はこの3名の出馬会見、経済政策にも目を通しました。それぞれが掲げる政策内容については個人的に解説していきます。まず出馬会見を聞いてみた私の主観的な感想ですが、やはり高市さんがダントツで良かったですね。
主な内容を一人ずつ簡単に解説します。


岸田さんの主張は自由主義を転換する、とのことで政府が積極的に介入して、経済やコロナ対策に尽力しますという内容です。
自由主義というのは、イメージとしては自己責任というような考え方ですね。
そういった自由主義ではなく、政府が積極的に支えて、日本をより良くしますよ、という内容でした。


高市さんに関しては、積極的な経済政策やコロナ対策、そのほか今後の日本を考えて、対外政策についても触れられていました。
はっきりと「こういう国にしたい」という主張があって、聞いていて分かりやすかったですね。
特に経済政策について具体的な解説があり、積極財政によって物価上昇率2%を達成する、と強く表明されていました。
以前のアベノミクスでも2%達成できませんでしたから、それ以上の経済政策を行うということでしょうか。
株価にとってはプラスの政策ですね。


そして河野さんの会見ですが、「みんなが手を伸ばせば願いが叶う国にしたい」みたいな事を仰っていて、言い方は悪いんですが私は何を言っているのかわからなかったです。
それを反映しているのか、河野さんの出馬会見だけYouTubeのバッド数が多くなっていました。


経済政策に関してもあまり言及されていませんでした。
もともと河野さんは増税派の方なので、どちらかというと「増税、緊縮財政」を考えているように思われます。ただそれを今言ってしまうと選挙に勝てませんから、今は言わない、という状況でしょうね。
私は仕事柄、政策の中でも特に経済のところを重視していますので、やはりそこだけをみると高市さんが一番、岸田さんがその次に良い、という印象です。河野さんになればむしろマイナス、景気は悪くなるだろうな、と今のところは考えています。
テレビの印象だけで「河野さんが良い」と思うかもしれませんが、言っていることは増税、みたいな場合もありますのでご注意ください。
また高市さんに関しては「投資の売却益や譲渡所得に対する税率を20%から30%にあげる」という点がネガティブなイメージを与えていると思いますが、こちらに関しては他の会見でお話しされていました。
この増税に関しては、物価目標2%を達成するまでは行わないし、あくまで検討段階であるとのことでした。
- 企業の現預金課税
- 金融所得増税
というのも、経済政策というのは結局は政府のお金を使うことですので、使えば使うほど、国としては借金が増えるわけです。
その分の収入はいつかは賄わなければいけないし、今の時点で良いことばっかり言って増税も全くしませんよ、というのは国民に嘘を付くことになるので前もって将来的には増税の可能性もあるよ、と伝える方が誠実だと考えている。というご意見でした。
ただこの増税に関しても、正直、実行に移すまでには相当の時間がかかると思っています。
というのもアベノミクスで日経平均株価が8,000円から2万円台を越えた時も、物価上昇率・インフレ率は継続的に2%は越えなかったからです。


ですので、今回の増税に関してもあくまで株価が相当上がってからの話だと思います。
またその増税によって得られる政府収入というのは、約3,000億円と言われていましたので、その3,000億ぽっちのことで本当に増税にするのかな?とは思っています。
個人的には財務省に対してのスタンドプレーとして見せている部分も大きいのではないかと考えています。
ちなみに財務省というのは国のお金の管理している部署になりますが、ここはお金の出入りを黒字にすることばかり考えています。国として黒字にする、というのは増税して国民からお金を巻き上げて収入にする、という事です。
この財務省も力が強いので、総理大臣はそちらにも良い顔をしなければいけないんですね。
そして追加の補足ですが、今の財務省のトップはだれかわかるでしょうか?
これは麻生副総理です。
麻生さんも昔は違ったんですけど今は増税派の方ですね。そういった様々な背景があることをご理解ください。
そしてこの増税についてですが、この税金の対象は主に個人になります。
ただし今の日本株の取引状況というのは、海外投資家や機関投資家が取引量の多数を占めています。
こういった人たちには今説明した、金融所得の税金など関係ありませんので、意外とそこは気にせず相場は上がっていくのではないかと考えています。
会社の場合は法人税が適用されますし、外国人には日本の税制は適用されません。
そういったことを考えると、この増税は相場への影響は思ったよりも小さいかもしれません。
また物価上昇率2%以上というラインがありますので、せめて日経平均株価が4万円を越えるまでは気にしなくても問題ないと考えています。
今週の相場見通しについては以上です。



それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。