
証券パートナーズの三好です。
今回は「インデックスファンドを購入する際の注意点」というテーマでお話しします。
- インデックス型の投資信託を始めようとお考えの方
- インデックス型の投資信託で気を付けるポイントを知りたい方
- アクティブファンドとの違いを知りたい方
今話題のS&P500や日経平均株価に連動する「インデックス型投信を購入する際に気をつけるべき3つのポイント」についてお話ししていきます。
今回の内容は「インデックスファンドがいい」とか「アクティブファンドがいい」といった、インデックスやアクティブの優劣についてお話しするわけではありません。
私個人としては、手数料に見合った運用成果が期待できるのであれば、アクティブファンドも有効な選択肢のひとつだと考えていますが、今回はあくまで「インデックス型ファンドに投信する際の注意点」という内容になります。
インデックスファンドの注意点①
「運用実績を確認する」
投資信託を選択する際に、そのファンドの運用実績というのは非常に重要です。
運用実績のどういったところに着目するのかは、その投資信託が「アクティブファンドなのか」「インデックスファンドなのか」によって、それぞれ見るべきところが違います。
インデックスファンドの運用実績を確認する際は、「そのファンドが基準としている指数からどれだけ乖離しているか」というのを確認する必要があります。
そもそもインデックスファンドというのは、ひとつの指数を基準として、その指数に連動するように運用していくファンドです。
この基準にする指数は商品によっていろいろ違いがあり「日経平均株価を基準にするもの」「TOPIXを基準にするもの」「S&P500を基準にするもの」、様々な商品があり、それぞれ基準にしている指数が異なります。
この基準にする指数のことを”ベンチマーク”と言います。
そしてこのベンチマークは、投資信託の目論見書に必ず記載がされています。
多くのインデックス型ファンドは、商品名自体に指数の名前が入っていたりしますね。
そして運用実績で確認すべきポイントは「その投資信託とベンチマークが本当に連動して動いているのか」という点になります。
例:eMAXISシリーズの全世界株投資
今回は、皆様大好きな「eMAXIS 全世界株式インデックス」を例にお話します。


このeMAXIS全世界株インデックスという投資信託は、基準とする指数を「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に設定しています。


あまり聞きなれない指数かもしれませんが、こちらはモルガンスタンレーが算出している「世界の株式の時価総額の加重平均値」を示している指数です。
ざっくり世界の平均値と思ってもらえば構いません。
実際にeMAXISが指数にしている、このMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスの値動きと比べた表がこちらになります。


約10年間のチャートになりますが、もし10年前に「eMAXIS全世界株式インデックス」に100万円を投資していれば、現在362万円となっていますが、このファンドが基準としている「MSCIオール・カントリー・ワールドインデックス」は約419万円になっています。
これは投資信託の世界で「トラッキングエラー」と言いますが、言ってしまえば基準値のベンチマークから大きく外れてしまっています。
他の全世界株式型の投資信託では、しっかりと同じように運用できているものもありますので、長い目で見るとeMAXISシリーズというのは手数料は安いものの、インデックスファンドとして正しい選択なのかどうかは考えなければいけません。
なぜ基準にしているベンチマークから乖離してしまうのか?
この理由は色々あるかと思うんですが、1つには手数料の安さがあるのではないかと思います。
手数料が格安で運用されているファンドというのは最近非常に話題になっていますが、金融業界に携わっている人間からすればどこか無理があるのではないかと考えてしまいます。
これは個人的な意見になりますが、様々な金融機関が手数料の格安競争に入っていて、便利なサービスや商品が増えてきましたが、長い目で見た場合この状況は、金融業界自体が自分で自分の首を絞めていると思っています。
安かろう悪かろうではいけませんので、運用実績をしっかりと確認した上でインデックスファンドを選択するようにしてください。
インデックスファンドの注意点②
「ベンチマークを確認する」
繰り返しになりますがベンチマークというのは、そのインデックスファンドが基準にしている指数のことです。
メジャーなところでは、「日経平均株価」「TOPIX」「S&P500」などがありますが、最近では特徴的な指数をベンチマークにしている投資信託が多く存在します。


例えばですが、直近話題になった「eMAXIS Neo電気自動車」というインデックスファンドがあります。
楽天証券やSBI証券でもインデックス型の投資信託として検索に出てきます。
ではこのeMAXIS Neo電気自動車という投資信託は、どういった指数をベンチマークにしているのでしょうか?目論見書を確認してみましょう。


ファンドの特色というところにベンチマークが記載されていますが「S&P Kensho Electric Vehicles Index」と書かれています。この指数は5年前に作成された指数のようです。今まで聞いたことの無かった指数です。
しかもこの指数の構成銘柄数というのは44銘柄となっています。日経平均株価の225銘柄、S&P500の500銘柄と比べると、かなり少ないですよね。
これを見て何が言いたいかと言うと、
指数に連動するという点においてはインデックスファンドには間違いないのですが、そもそもの基準にしている指数自体が、代表的な平均値ではなく偏りのあるような恣意的なベンチマークを採用している場合、言ってしまうと、それはインデックスファンドというよりもアクティブファンドのような性質を持っているということです。
ありえない例え話ですが、「三好インデックスファンド」というのを作ったとして、「そのベンチマークは三好が良いと思っている銘柄の平均値です」というファンドがあるとして、これはもうインデックスファンドとは言えませんよね。
私からすると、この商品は一応インデックスとは言ってますけども、インデックスの皮をかぶったアクティブファンドだと考えています。
この商品が良いとか悪いとか、投資してはいけないとか、そういうお話しではなく、そういった商品の内容や特徴をしっかりと理解した上で投資してくださいねということです。
インデックスだったら何でも大丈夫というわけではありませんので、ご自身で選択する際は商品の内容を理解するようにしてください。
インデックスファンドの注意点③
「純資産額に注意する」
投資信託を選ぶ際、純資産額は非常に重要になります。
純資産額というのは、その投資信託にどれだけお金が集まっているかという数値になります。
アクティブファンドの場合は少なすぎても駄目ですし、多すぎても良くないという話を以前お伝えしたことがあります。
このアクティブファンドの選び方については、以下の記事で詳しくお話ししていますので是非あわせてご覧ください。


その一方で、インデックスファンドの場合は”純資産額は多ければ多いほど良い”とお考えください。
それはインデックスファンドの運用の安定性が高まるからです。
基本的なお話しですが、インデックスファンドの特徴としては、低コストで多くの銘柄に分散投資して運用を行います。
ここで何点か問題が起こります。
- 1つ目は運用会社があまり儲からないという点
- 2つ目は幅広く分散投資するには多くの資金が必要になる
ということです。それぞれ簡単に解説します。
運用会社があまり儲からない
インデックスファンドの特徴として、手数料が安い商品が多いので、投資家(購入する側)からすればメリットだとお考えだと思いますが、運用する側からすれば集まった金額が少なすぎると管理の手間だけがかかり、儲かりにくいという事情があります。
ですので長期間に渡り少額しか運用資金が集まらなかった場合、運用会社が信託期間の満期で投資信託を償還させる可能性が高くなってしまいます。
運用会社によってはどんどんと償還させる場合もありますので注意するようにしましょう。
幅広く分散投資するには多くの資金が必要
基本的にインデックスファンドというのは、分散投資している銘柄を実際に購入してファンドに組み入れるという運用を行っています。
例えば日経平均株価に連動するインデックスの場合、実際に日経平均株価を構成している225銘柄を購入して投資信託に組み入れています。ですのでそもそもこれを購入するための資金が必要です。
また、純資産額が少なすぎると「流動性リスク」と言って、株価が暴落した際などにそのファンドを持ってる人が一斉に売却しまうと、そのファンドの運用に支障が出てトラッキングエラーが起こり得ます。
あくまで可能性というお話しにはなりますが、いずれにせよインデックスファンドは安定した運用が行われる必要がありますので、できるだけ純資産額は大きい方が良いかと考えています。
なので最低でも500億以上純資産額があるインデックスファンドを選ぶようにしてください。


まとめ
基準としているベンチマーク指数から外れた運用が行われていないか、しっかりと連動しているのか、過去の実績から確認するようにしましょう。
その投資信託がどのような指数を基準にしているのか、中にはインデックスの皮をかぶったアクティブファンドもありますので、内容を理解した上で選択するようにしましょう。
インデックスファンドの場合は純資産額は多いに越したことはありません。純資産額が多ければ運用の安定性が増しますので購入前は確認するようにしてください。ただし、アクティブファンドの場合は別ですのでその点はくれぐれもご注意ください。



それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。