
証券パートナーズの三好です。
今回は「高値での積立投資は大損するのか?」というテーマでお話しします。
- 積立投資を始めるタイミングを知りたい方
- 高値の時に積立投資を始めてもいいのか?とお考えの時
- 暴落直前の最悪時期に積立投資を始めた場合のシミュレーションを見てみたい方
今回は「積立投資を始めるタイミング」についてのお話になります。
最近は日経平均株価も3万円台を回復し、米国株も歴史的に高い水準です。
今のように高い水準の株価まで上がってくると、皆さんは投資について「今から始めてもいいのか?」というタイミングについて考えるかと思います。
私は常日頃から「長期スパンで考えているのなら投資は今すぐに始めるべき」という考えをお伝えしてきました。
今回は今のような株価が高いタイミングでも、投資を始めても良い理由について解説していきます。
暴落直前から積立投資を始めた場合はどうなる?
では、暴落直前から積立投資を始めた場合のシミュレーションについてお話ししていきます。
株式相場の歴史を振り返ると、2000年以降に大きく株価が暴落したタイミングで、皆様の印象に一番強く残っている大暴落は、2008年のリーマンショックかと思います。
リーマンショックの詳細を話すとまたお話しが長くなりますので今回は割愛させて頂きますが、2008年9月にリーマンブラザーズという投資銀行が経営破綻したことにより、その経済的被害が全世界に波及した出来事になります。
それを受け2008年の9月15日以降、世界の株価は大暴落し株式市場は非常に混乱する事態となりました。
当時の株価を振り返ると、日経平均株価は14,000円から7,000円台まで大きく下落し、世界の株の平均であるオールカントリーワールドインデックス、いわゆる全世界株式も株価は半値まで下落しました。
そこから世界的な金融措置が行われ、株価は徐々に戻して行ったのですが、今回はそのリーマンショックが起きた2008年9月の前月、2008年8月から積立投資を始めていたらどのような運用成果になっていたのか検証していきたいと思います。
日経平均株価でのシミュレーション


今回は実際に販売されているインデックスファンドを元にお話しをさせていただきます。
ではまず、日経平均株価のインデックスファンドとして、日興アセットマネジメントから販売されている「インデックスファンド225」を参考商品としてシミュレーションしていきます。
以下がシミュレーションの表になります。


この表の見方ですが、左からどんどんと積み上がっているグレーの棒グラフは投資金額を表しています。
毎月積立投資をしていくので、投資金額は年数を追うごとに増加しています。
そして上の青い折れ線グラフはファンドの価格、つまり日経平均株価の値動き。
そして真ん中の緑色のグラフは積立投資の評価額とお考えください。
つまり下のグレーの投資金額よりも緑色のグラフが上に上がっている場合は、投資した資金がプラスになっている。
逆にグレーの投資金額よりも、緑の折れ線が下に割り込んでいる場合は投資資金が損しているとお考えください。
それを踏まえて見て頂きますと、2008年8月から積立投資を行った場合、2012年まではほとんどプラスになっていません。
大きく損もしていませんが利益も出ていない状況です。
そして転機になるのは2012年です。


日経平均株価が徐々に値を戻していき、2012年の8月に暴落前の水準まで回復しました。
ただ見ていただくと分かるのですが、積立投資の部分に関しては2012年の5月から利益が徐々に出始めて日経平均株価が回復した8月時点で、投資金額に対し大きく利益が出ていることがわかります。
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時間はかかったもの日経平均株価が戻ってきて、暴落前と同じ水準に戻っただけなのに、積立投資を行っていれば大きく利益が出ています。
なぜこのような結果になったのかと言うと、積立投資の場合は下がっている間もコツコツと一定金額で投資をし続けるので、安い価格で投資対象を買い集めることができます。
時間分散の結果、暴落に直面しても平均単価を下げることができ、結果として株価が回復した際に大きく利益を出すことが可能となります。
ですので、株価が高い時に積立投資を始めて、仮に暴落に直面したとしても、積立投資を行っていれば平均単価を下げて、最終的には運用成果はプラスにすることが可能だと言えます。
また実際に高い水準で積立投資を始めて、そのまま株価が上がったとしても、その上あがりの恩恵を受けることができますので運用成果はプラスになる可能性が十分にあります。
全世界株式でのシミュレーション


次は参考商品として三井住友トラストアセットマネジメントの外国株式インデックスファンドを参考商品として解説します。
以下の表をご覧ください。


こちらの表も先ほどと同様で下のグレーのグラフは投資金額、青色のグラフがオールカントリーの価額、ピンクのグラフが運用資金の評価額となります。
日経平均株価と同様に、全世界株式も2008年から投資を開始し、暴落前の水準まで本格的に戻ってきたのは2012年の後半となります。
先ほどと同じように、全世界株式が暴落前の水準に戻ってきた際に積立投資の部分は利益が出ていることが分かるかと思います。


この理由は、先程と同様に暴落後の安い価格でコツコツと投資することで平均単価を下げているからですね。
株価は暴落前の水準に戻ってからも上昇を続けていますが、積立投資の運用成果もそれと連動するように上昇していることがわかります。
このように積立投資を織り交ぜながら長期的な目線で資産運用に取り組めば、株価が多少高い水準であっても過度に恐れることはないと考えています。
実際に全世界株式というのは、2008年の当時の水準から見れば十分に高い株価であったことがわかりますし、もしかしたらここでまとめて大きく投資をすることで損失を出してしまった方も多くいたかもしれませんが、資金管理に注意しながら腰を据えて資産運用に取り組んでいただければ暴落が来ても怖くないと考えています。
私の感覚からすれば「暴落が怖い」と過度に心配する方は、その気持ちもわかりますが投資に取り組む姿勢がどうしても短期的な目線になっていると考えます。
統計的に見ても、長期で運用する方が儲かりやすいことは証明されていますし、世界は未来に向かってより良い方向に改善していこうと動いています。


投資を始めるタイミングというのも非常に重要ではありますが、どういった目標、計画性をもって資産運用に取り組むのかという運用姿勢もそれ以上に大切なことだと考えています。
また、今回のシミュレーションに使用した、インデックスファンドでの投資をお考えの方は、以下の記事もあわせてご覧いただけますと幸いです。


まとめ
「株価が高い段階で積立投資を始めても大丈夫か?」ということですが、私は問題ないと考えています。
ただしそれには「積立投資を織り交ぜること」そして「長期的な目線で資産運用に取り組むこと」
この二つは大切なことなので忘れないようにしてください。
最低でも3年から5年ぐらいは続ける気持ちで取り組んで下さい。





それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。